最終更新日 2022/06/05

※Social Postage Stamps

    ライトノベル へようこそ Welcome to novel


65話 過去の生産職VS戦闘職

10月14日(金曜日)

「おはよう。」

「お〜。おはよう」

「光矢君おはよう♪」

「水晶君おはよう。」

席に座り、海人に近況を聞いてみる。

「そう言えば、海人達は第四エリアを越えたんだっけ?」

「まだだよ。エリアボスが強すぎて、みんな足止めされちまってる。」

「私のところは、ダンジョンでレベル上げして、
なんとか、第三エリアのボスは倒して、第四エリアに入ったばかりって感じ。」

道下さんは、第四エリアに入った様だ。

「私は、妹と一緒に拠点探しをしているよ。なかなか、無いけどね。」

「光矢は何をしていたんだ?」

「僕?僕は、作りたい装備を作り続けているよ。
とりあえず、満足した結果を出せたから、今は、畑作業を主にしているよ。」

「そう言えば、光矢の拠点ってどこだよ?教えてくれよ。」

ここで、僕達だけでなく、なぜか、クラス中が固まった。

「え〜!陸原君まだ、知らなかったんだぁ。」

「うん。妹も掲示板で、盛り上がっていたって言っていたんだけど。」

道下さんと牧ノ原さんはびっくりしている。

「え?有名なところか?う〜ん。」

海人が考えている間に、話が変わってしまう。

「そう言えば、光矢君は闘技大会に出るの?
今、参加者募集していて、予選をしているらしいけど。」

「俺は出るぞ。3月にも闘技大会あったけど、消化不良だったからな。」

「妹も出るって言っていたよ。3月の時も出ようと思っていたけど、
空気がギスギスしていて、イベント楽しめそうも無いと思って諦めたみたい。」

どうやら、前回の大会で問題があったみたいだ。

「なに?何かあったの?」

海人は、当時を懐かしむ感じで話し出す。

「ああ。あの頃、装備をやり繰りしながら強くなっていって、
知らない土地に行くのが楽しみだった。

当然、裏では生産職の人達が支援してくれているからこそ、俺達は安心して戦える。

多くのプレイヤーは、実際にそう思っていたからこそ、順調に行っていた。」

海人の話で、なんとなく、理由が分かった。

「なるほど。何があったか分かったよ。
要は強くも偉くもないのに、そう思い込んだ、そう言うプレイヤーが湧いたという事か。」

道下さんが話を引き継ぐ。

「うん。私もあの頃、そう言う雰囲気が嫌で、実際に何日もログインしないとかしていたし。
そして、全面対決になったのが、闘技大会だったんだ。」

「生産職の人は、自分達のレベル上げにもなるからって、国の要請に快く応じたんだ。

多くの参加者は、装備を直してくれてありがとうって言っていたんだが、
生産職不足もあり、長蛇の列が出来ていた。」

なるほど。マウント気取りという人の様だ。

「その長蛇の列で怒りを爆発させたプレイヤーが、
お前達生産職は、俺達戦闘職の装備をさっさと直せばいいんだ!って言ってね。

私も近くにいて、ムカついたから、行動を起こそうかと考えていると、
生産職のひとりが、直してあげたんだ。その時は、それで収束したんだけど。」

「その生産職の人は、どうやら、ベータ版でも威張っていた先程の男に苛ついていたらしい。

そこで、反撃したいと考えていたようで、
俺達には分からんが、直したふりをして細工をしたようだ。

ようだと言うのは、大会に出場していた戦闘職の男の装備が、灰になったんだ。」

「なるほどね。灰にしたのか。相当、色々と調べたんだろうね。」

「だね。当然、その男は、直した生産職のプレイヤーに食ってかかった。

その人は、涼しい顔で、直せと言うから直しただけで文句を言われる筋合はないってね。

その後、殴りかかったんだけど、運営側が出て来る事案になっていた事で、
私達は事態が相当悪い方に行っているんだって知ったの。」

「後で知った事だが、その男は相当あくどい事をしていたようだ。

ただ、あくどい内容は書かれていなかったから分からん。

まぁ。その後だな。

生産職のプレイヤーの多くが、引退したり隠れたりするようになったのは。
俺達、戦闘職はお前も知っている通り、神殿にダンジョンが見つかるまでの間、
NPCに頼る以外に方法がなくなり、探索どころでは無くなったわけだ。」

これが、前回大会に起きた問題の顛末のようだ。

「意外と大変だったんだ。今回はスムーズに行くんじゃない?」

「まぁ。そうなれば良いよねぇ。
でも、本大会に出る為には、勝ち上がらないとダメだけど。」

「妹から聞いたら、当時は屋台とかも無く、寂しかったらしいよ。」

「今回は、フィンテルが発展して、他の街などに影響を与えているようだし、
屋台とかあると嬉しいよね。あと、フリマスペースが欲しいかな。」

午後8時

ログインすると、ソアリスさんが外でお茶を飲みながら待っていた。

「あれ?どうしたんですか?」

「こんにちは。そろそろ、10月も半分なので、コーヤ様の賞品の状況を確認してくれと、
お父様から言われたので来ました。」

「なるほど。完成していますよ。今出しますね。」

変形武器の完成形と応用した一体型装備、数点のアクセサリーを出した。

「武器のみのは、以前に私が使ったのと、あまり変わりはないんですね。」

「ええ。耐久度を上げると共に、2つの隠し玉、その他にも細工しています。」

「なるほど。一体型は、なかなか、面白い形なんですね。サイズも小さめですし。」

「見た目を小さくしているだけです。形は、今後、研究するつもりです。」

「と言う事は、装備すると装着出来る大きさになるんですね。」

「はい。合言葉で脱着が可能になっています。
それと、こちらにも、色々な機能を盛り込んでいます。」

「でしょうね。アクセサリーはどうなんですか?」

「アクセサリーは、研究の結果、3つの効果を付与する事が可能になりました。
今回、机に置いたのは、攻撃特化、防御特化、速さ特化、支援特化で作って見ました。」

「3つもですか。その技術を広めるのを許可貰えませんか?もちろん、対価は払います。」

ソアリスさんは真剣だ。

「少し条件がありますけど、僕にとっても楽が出来ますしね。」

「ありがとうございます。(お辞儀)」

ソアリスさんは、安心出来たのか、イスに戻って、お茶を飲み始めた。

「そうだ。闘技場の建設はどうなっているんですか?」

「闘技場の外側は最後の段階に入り、内装も少しずつ着手しています。」

「闘技場って、外壁で囲ったりするんですか?」

「今の所、予定は無いんですが、囲った方が良いのでしょうか?」

僕はフィンテルなど、塀で囲んでいるので、びっくりしてしまった。

「あれ?てっきり、そのつもりかと思っていたんですけど。
だって、魔物や賊も周りにいますから当然なのかと。」

「私達は、闘技場を要塞としても活用出来る様に作ったので、不要だと思ったんです。」

「う〜ん。要塞ですか。でも、外壁があった方が、手の内を隠す事も出来ますし、
後に、街とする事も可能ではないかと考えていたんです。」

「具体的には?」

「建築場所が王都への侵入を妨げると言う観点では要塞でしょう。

しかし、交通の要所でもあるので、商人や品物が集まりますし、
常設から、鍛冶や調薬などの生産系職人は、腕を上げたりする絶好の場所になるでしょう。

そうすれば、発展する可能性が十分にあります。」

「確かに。でも、王都ではダメなんでしょうか?」

ソアリスさんは考え込み、1つの疑問を口にした。

「王都でダメではないでしょうが、
多くの人が出入りする事を考えると、適していないと思います。

王都は王族を守る為にありますが、中心という事で、物価が高い。

それでは、冒険者や職人が根付くのは厳しいでしょう。

闘技場を中心に街が出来れば、物価や税金が安くなり、商人は利益が出るし、
職人は素材を手に入れ易くなると思います。」

「なるほど。分かりました。お父様には私から伝えておきます。」

ここで僕から、提案を話しておく。

「せっかくなので、商人ではない一般人が、好きに商売出来るスペースと、
飲食店が出店出来るスペースがあると、良いんですがどうでしょうか?」

「飲食店は分かりますが、一般人の為のスペースとは?」

「人材発掘の為でもあります。

物を作ったけど、売る場所がない、貰い物や買った物で不用品を捨てるのは勿体ないとか、
そう言う物で、掘り出し物ってたまにあったりしますから。

それと、物を作る楽しみに目覚めれば、後々、国の発展に影響するかも知れません。」

「ふむ。有意義な意見ありがとうございます。早速、話し合ってみたいと思います。」

そして、日付は過ぎて、大会当日になった。

Copyright © 水晶光矢 All Rights Reserved.